スーパーカブFIの小ネタ

JBH-AA01のリミッター(概要)

JBH-AA01、つまり国内最初のインジェクションカブにはリミッターがある。
3速・4速車共通のレブリミッター、もう一つが4速車のみに存在する通称「60km/hリミッター」だ。
前者は9,500rpm付近で発生する燃料/IGカットリミッターで、単なる回転数式。バァンバァンバァンバァン、といった様相で、それ以上回らないように無理やりに回転を抑える。

厄介なのが後者の「60km/hリミッター」。

これ、誰が名付けたのかわからないが、車速が60km/hに達したことを条件にリミッターがかかるわけではない。
ECUのピンアサインを見れば分かるが、どこにも車速センサーなんてもんはついてないでしょう。

じゃあどんなリミッターなのかといえば、点火時期を制御して吹け上がっていかないように制御しているもの。
キャブ車時代には、同じく4速に入るとCDIが点火時期を遅角していた。これのECU番だ。

そもそも点火時期を変えるとなぜリミッターになるのか?については、別で解説するためそちらを参照したい(予定)。
(簡単に言えば、揺れているブランコで適切なタイミングで背中を押せばより大きな弧を描いていくが、微妙に遅いタイミングだと「スカッ」となってちゃんと加速しないのと同じ)

TIPS: 速度警告灯はどうなっているの?

メータについているたまにピカピカ光るランプが速度警告灯だ。 速度警告灯はECUと違ってフロントハブに内蔵されたギアから機械的に速度を取得している。
TIPS: スーパーカブ 3速 リミッターカット で検索してたどり着いた人へ

あなたのカブがキャブ車なのかFI車なのかは知らないが、3速のキャブ車にリミッターは無い。FIは上述の通り。キャブ車で回らない、というのは設計限界である。必要以上にパワーは出さない、よくできた原付バイクなのだ。

リミッターで遊んでみよう

通常、JBH-AA01の4速リミッターを解除するためにはリミッターリリース(リミッターカット)ハーネス FIスーパーカブ/FIリトルカブなどが必要となる。一つ1,000円オーバーだ。松屋なら2食食える。

ここでは、松屋2食の代金を確保するために、安価にリミッターを解除する方法を伝授する。

リトルカブ4thギア回路図

上の画像の若葉/黒のラインは、先端がエンジン側の4thギアポジションスイッチにあり、逆の端はECUに印加される。論理は負で、つまりエンジン側のスイッチをSG(シグナルグラウンド)に落とすことで、ECUは4thギアと判定する。
つまり、この配線をキャンセルすることで4thギアに入ったことをECUに認識させないようにすれば、4thギアのリミッターは解除される。

それでその効果はどうか?というところであるが、ノーマルのギア比ではその恩恵は薄い。
だいたい4thの7000rpmで59.3km/hくらいが理論値であるが、わずか3.4PSのエンジンだから、点火時期を最適化しても体重や風圧の関係で負けるのが関の山だ。

そういう場合は少しギア比を落として、きっちり9,500rpmまで回る仕様にしよう。
筆者のおすすめは、17インチなら13-40か、13-39。近スポできっちり9,000くらいまで回るし、あいだのセクションも登る。14インチなら、17インチとの比率をかけてやれば導出できるはずだ。(2025.08.19)

全ギアポジションでリミッターが効くようにして最高の燃費マシンを作ろう

こういうタイトルでネタを書こうと思ってあたためておいたのだが、色々と考えていくうちに「むしろ燃費は悪くなるのではないか?」ということに思い至った。
これを説明するためには、スーパーカブ(JBH-AA01)の4thリミッターが如何にして燃費に正の効果を作用しているかを考えるところから始めねばならない。

(執筆中)