カブでレースをするための虎の巻

レースとは

レース(Race)は、決められたルールの中で、ゴール到着した順番を競う競技だ。
駅伝やトライアスロン、馬が競争する競馬などがレースと呼ばれる。
逆に砲丸投げや走り高跳びのように、記録を計測して順位を付ける競技はレースに含まれない。

古くは生身の人が走るレースや馬に乗って競うものが主流だったが、近代は原動機が付いた乗り物によるレースが発展してきた。

最初の原動機付レースは1906年のマン島TTレース。
このレースは形を変え、名前を変え、MotoGPなどのスプリントレースの礎となった。
また、1922年にはボルドール24時間耐久レースが開催され、今日の世界耐久選手権へと発展した。
日本の夏に開催される鈴鹿8時間耐久ロードレースも世界耐久選手権のひとつである。

カブのレースにはどんなものがある?

スーパーカブは、「ソバ屋の運転手が”片手で”運転できる」がコンセプトのオートバイだ。
オートマチック機構がまだ無い時代に、自動遠心クラッチという独創的なアイデアと、操作系を右手に集約することで、右手と両足だけでの操作を可能とした。

そんなスーパーカブが参戦できるレースにはどのようなものがあるのだろうか。

有名どころは、西日本の『全日本カブ耐久』、東日本の『CUB-CUP(カブカップ)』だ。
その他にもカブが出れるレースは様々あるが、スーパーカブがメインのレースはこの2つのレースだろう。

余談だが、過去にはスーパーカブ一億台生産記念として、もてぎロードコースの東半分を使って世界選手権を走るライダーがレースをしたこともある。
https://youtu.be/g6UrGc1G3Sk?si=K4mgrR5fBTvO-rFS

全日本カブ耐久

京都の山奥・近畿スポーツランドで開催される。
毎年GW、夏休み、最終戦の3回開催。

https://happyend.main.jp/olljapan-cub.php

CUB-CUP

国際サーキットとして有名な富士スピードウェイのカートコースで開催される。
年間4戦で、最終戦以外が3時間耐久、最終戦が6時間耐久。

全日本カブ耐久と異なる最も恐ろしいルールは、ステップカットNG!
この制約により、リトルカブ(14インチ)で参戦するものは優勝を狙うことは不可能だ。

http://www.japan-racing.jp/fsw/cub.html

準備 〜装備・人間〜

必要な装備は?

レースを走るからには装備が必要だ。
公式的なレースなら、認可を取ったヘルメットやツナギなどが必要だが、カブのレースはほとんどが草レース。
適度な安全装備があれば良い。

各レースのレギュレーションによって詳細な準備物は異なるが、概ね以下のようなものがあれば良い。

装備必須説明
ヘルメット説明不要。フルフェイスじゃないと顎が削れるぞ
ヘルメットリムーバー転倒・意識がなくなった際に、第三者がヘルメットを脱がしやすくする
つなぎレースによっては、肘・膝にプロテクターが入ったウェアでも良いとされる
脊椎プロテクター無くても何も言われないかもしれないが、アルニコしたことはない
胸プロテクター同上
ブーツくるぶしが隠れるものであれば良い
グローブ点灯したときに手が大根おろしにならないようなレザー製を

人間

レースは30分くらいのスプリント(意味:短距離)から、数時間の耐久まで様々な長さがある。
スーパーカブのレースは耐久レースが多く、ライダーには体力が求められる。

また、ブレーキ、コーナリング時に使う筋肉は鍛えておきたい。
特に体幹がしっかりしていなければ、ハングオンでコーナーアプローチすることは難しい。

準備 〜車両改造〜

外すもの

ライト類、キャリア、センタースタンド、サイドスタンドが外すべきものだろう。
レースのレギュレーションによっては、これらすべてを外さなければならないものもある。
必ずレギュレーションに照らし合わせて準備する。

例えば全日本カブ耐久では、スタンド類が外せなければワイヤーロックで動かなくすることが求められる。
ライト類は養生テープで破損時に飛び散らないようにすればよい。

ワイヤリング

ワイヤーロックとも呼ばれる。
液体類がこぼれないよう、オイルドレンボルトやオイルキャップをロックする。
ワイヤーロックをする場合には必ず専用工具と専用のワイヤーを利用する。

SIGNET シグネット ワイヤーツイスター 160mm 90440
キタコ(KITACO) ステンレスロックワイヤー(径0.80mm×約68.5m×1缶)

オイル

カブに於いて、オイルは冷却も兼ねているため、熱ダレ耐性が高いものを選びたい。
硬めのオイルは潤滑ロスを招くため注意が必要。
また、カブのクラッチは湿式のため、潤滑成分(モリブデンなど)が含まれないものを選択する。

メーカー銘柄粘度説明おすすめ
HondaULTRA G15W-30スーパーカブ指定オイル。
このオイルを前提にエンジン設計されているため間違いがない。
HondaULTRA G210W-40Hondaによると、サーキット走行の場合はG1よりもおすすめ。
YAMAHAプレミアムシンセティック10W-40熱ダレ知らず、ライフも良い。
WAKO’SプロステージS10W-4010W-40ながら吹け上がりが悪くない。汚れを取る性能も高い。ただしライフが低い。
WAKO’SプロステージS0W-30レースに試したことは無いが、49ccならこちらもありか?

チェーン

小排気量はいかにロスを少なくするかが勝負の分かれ目。
チェーンは抵抗が少ないものを選択しよう。

RKチェーンの場合は、以下のノンシールタイプがおすすめだ。

銘柄シール説明
420MS最も標準的な製品
428SH428サイズの標準

RKの場合は、銘柄の中でも表面処理の違いで「STEEL」か「NICKEL」、「ED.XXX」が選択できる。
STEELは鉄のむき出しとなるため錆の心配がある。
ED.XXXは電着塗装を施したグレードなので、長期保管する場合などに向いているだろう。

参考: https://mc.rk-japan.co.jp/chain/chain-select/

タイヤ

本格的なロードレースタイヤのように、スパーカブ用のタイヤにも熱が入ったらグリップするタイヤがある
最近リリースされたものでは、PILOT MOTO GPがその代表だろう。
ありがたいことに、リトルカブやカブプロの14インチにも使えるサイズがある。
逆に、熱が入るとダレてくるタイヤもあるから注意だ。

こだわりがなければ、普段使っているタイヤでも良い。
49cc程度の加速感であればパワースライドも少ない。

注意する点は、製造から時間がたったタイヤだ。
3年程度を限度に置いて、野外で保管している場合などはもう少しシビアに2年程度が限度と考えた方が良い。

ステップ

上の方にも記載したが、CUB-CUPの場合はステップカットNGだ。
17インチであればステップカットしなくとも充分なバンク角が稼げてコーナースピードを担保できる。
しかし、リトルカブで出る場合はステップカットが必須だ。
コーナーステップが擦ってしまい、スピードを上げたアプローチができない。

また、ステップゴムにも注意したい。
純正のゴムのままだと、踏ん張りが効かなくてコーナーで苦労することになる。
アルミタイプのものを購入しよう。

(以下執筆中)