スーパーカブに搭載されたFIシステムの歴史

HondaのPGM-FIの概要

スーパーカブ用のFIの前に、HondaののFIについて述べておこう。
Hondaのバイク用PGM-FIには複数のバリエーションが存在する。
排気量や気筒数、パーパスによってタイプが異なる。

スーパースポーツ用

CBR1000RR-Rなどのスーパースポーツ用のインジェクションシステム。
ツインインジェクションシステムや、TBWなど最新技術の粋を盛り込んでいる。
コンピュータもiPhone15よりもデカく、HRCのECU ROMを使えばマッピングや気筒毎の減速噴射量の制御なども可能だ。

市販150cc以上タイプ

CBR250Rなどに代表される中排気量モデル用のインジェクションシステム。
一部のレース用ECUはスーパースポーツ同様にROM書き換えをサポートしている。

小型用

アイドリング制御などに課題がある小型車用のPGM-FIシステム。
空気が流れる、燃料が霧化する、燃焼する、という物理現象はすべてに於いて共通だが、小さければ小さいほど精密な制御が必要だ。
IACV(アイドル エア コントロール バルブ)と呼ばれるアイドル領域の燃焼をコントロールする技術が特徴的である。
ちなみにMSX(GROM)はIACVが搭載されていなかったり、差があるようだ。
レース用MSXのみがROM書き換えサポート…だったはず。

TIPS: Hondaと環境

1961年、ホンダはマン島TTで初勝利を得ると、この年の世界選手権で複数クラスのチャンピオンとなる。 物理的に2ストロークのほうが圧倒的に有利と言われているなか、ホンダは4ストロークのバイクで世界選手権を席巻したのだ。 その後のNR<楕円ピストン>によって再度4stによる世界制覇を狙ったが、不発に終わったのは有名な話だ。

なぜ4stなのか。理由は2つある。
ひとつは、2stを選べば軽量・高出力が簡単に得られる。でも、簡単な手段に頼れば優れたアイデアが生まれない。本当の勝利は、独創的なアイデアで戦って手にしなければ意味がない。
もう一つは、2stが4stと比べると”人の役に立つ技術”ではなかったからだ。本田宗一郎がバタバタを創ったのは「人のため」である。戦後間もない日本で、闇市へ行く妻が不便しないように創ったモビリティは、うるさい、オイルでスカートが汚れるという問題があった。カブF号を経て4stのスーパーカブC100を創ったのは、人のためになるモビリティを目指した姿だった。

人にとって良いものは、環境にとっても良いものだ。
黎明期から、なにが人にとって良いものかを突き詰めて考えていた本田宗一郎は、環境に対しても先見の明があった。

スーパーカブ FIの歴史

カブシリーズで初めてFIが搭載されたのは2003年7月発売のWave125iだった。 ここから、カブシリーズ特有のインジェクションシステムの変化を解説する。 (編集中)

スーパーカブ FI ECUの部品番号変遷

カブ系のECUの部品番号について、2007年以降のパーツリストを掻っ攫ってみた。
先頭の”38770-”はECUを表す部品として共通となっているため省略する。

Standard/Little/Press/MD

(調査中)

カブ110

型式年式部品番号
JA072009KWV-043
JA072011同上
JA102012KZV-J03
JA102016同上
JA442018K88-J02
JA442020同上
JA592022K88-J43

カブ110は認定型式毎にECUが異なり、各型式内で変更はない。

クロス系統

型式年式部品番号
JA102013KZV-B01
JA452018K88-B02
2020同上
2021同上
JA602022同上

カブ110とクロスカブはECUが異なるようだ。
2020年、2021年にモデルチェンジが行われているが、部品番号は共通。


クロス50cc

型式年式部品番号
AA062018GGN-B02
2020同上
2022同上

CT125

型式年式部品番号
2020K2E-J02
2022K2E-J12

C125

型式年式部品番号
2019K0G-942
2022K0G-J22

(工事中)